診療案内
診療対象の動物
当院での治療
具合が悪くなったペットを連れてご来院される飼い主さまは、大きな不安を抱いていることでしょう。
当院では、そうした不安を取り除くために、まずできるだけわかりやすく状態をご説明してから、必要な検査や治療を行なってまいります。
動物たちにとって、また、飼い主さまにとっても、なるべくご負担が少ない治療法がご提案できればと思います。
また、より高度な治療や検査が必要な場合は、提携する大学付属病院(東京大学・日本獣医生命科学大学・麻布大学・日本大学など)がございます。
これらの医療施設と連携を取りながら、治療に当たっていきます。
いずれにしても、十分な説明をした上で飼い主さまにご相談をしながら治療を進めてまいりますので、心配や疑問点がありましたら、どうぞ何でもおたずねください。
飼い主さまへのお願いとしては、ペットの様子に対して「普段とは違う」ということがあれば、「早めに気づいてあげて…」ということです。
人間には自覚症状があり、訴えることができますが、動物にはそれができません。
「普段とは違う」ことを見逃したばかりに、助からなくなってしまう子もいるのです。
常に身近にいる飼い主さまの見守る目次第ということでもあります。
毎日の生活の中で、「おかしいな」と思ったら、どうぞお気軽にご来院ください。
季節と多い症例
ご来院される中でよくあるのは、ペットの嘔吐や下痢などの消化器症状、そして皮膚に関する症状です。
しかし、季節によっては発生率が多くなるという症状もあります。
飼い主さまには、夏の暑さと冬の寒さには特に気をつけていただきたいものです。
熱中症で手遅れになってしまうようなケースも毎年見られます。
横にバタンと倒れ、もし息が上がっているようなことがあれば、身体を冷やしながら大急ぎで連れてきてください。
予防も大事です。
夏の暑い日にクルマで外出する際はエアコンを効かせ、駐車中にクルマの中に放置しないなど配慮が必要です。
照り返しの強いアスファルト道の、暑い時間帯でのお散歩にも注意しましょう。
冬場は反対に、夜間の暖房などに十分に気を配ってあげてください。
特に、高齢の動物にとっては、暑さ寒さはつらいものです。
夏を、または冬を乗り切れば、また次の半年を過ごすことができるというのが実感です。
夏冬の対策は万全を期すことが大切です。
最近の傾向
年々ペットのかかる病気は変わっています。
フィラリアに代表されるように、予防できる疾患が増えるにつれ、その病気の発生は少なくなっています。
特に都市部では、今はほとんどフィラリアを見なくなっています。
松戸市のような都市部では、ノミやマダニなどの外部寄生虫、フィラリアや回虫等の内部寄生虫の予防が盲点になりがちです。油断せず定期的検査や予防・駆虫が必要です。
新しい家族を迎えたときは
子犬ちゃん、子猫ちゃんの飼い主さまの中には、初めて動物を飼われる方も多くいらっしゃいます。
このような小さいペットたちは、身体の中の抵抗力も少なく、「何かおかしい」と思ったときに、ちょっと1日~2日様子を見ただけで手遅れになってしまうことがあるのです。
初めて動物を飼われる飼い主さまには、「何かあったら様子を見ないですぐに連れてきてください」と、必ずお願いしています。
また、ペットショップにも寄生虫はいます。
ペットショップから来た子であっても、安心しないでください。
最近は人獣共通感染症も増えています。
人にも動物にも寄生するケースがありますから、外から家に入れるときは十分に気をつけましょう。
病院に行くべきか迷ったら…
すぐ病院に連絡すべき症状
- 苦しそうにあえいでいる。
- 呼吸音に変な音が混じる。
- 舌が紫色。
- 一時的に呼吸が止まる。
- 出血している。
- 排尿・排便ができない。
- 激しい痛み、連続する痛みに苦しんでいる。
- 血液が混じる嘔吐・下痢・排尿がある。
- 意識がない。
- 震え、昏睡、ケイレン、気を失う、首を傾ける。
- 見えない物に向かって噛みつこうとする。
- 性格が突然変わった。
- 自虐、出血するほどの皮膚のかゆみがある。
その日の内に病院へ行った方がよい症状
- 呼吸が変。
- 嘔吐・下痢にごく少量の点状出血が見られる。
- 突然の歩様異常。
- 異物を何か飲み込んだ可能性がある。
- 噛んだり、舐めたり、引っかいたりして、痒がっている。
- 身体から異臭がする。
- 部位が小さく出血を伴わない、やけど、凍傷、傷。
一晩様子を見てもからでも大丈夫と思われる症状
- 嘔吐・下痢をするものの血や異物が見られず、痛がり方も連続的ではない。1日1~3回程度。
- 軽く、皮膚には傷が残らない程度の続かないかゆみ。
- 大量に水を飲む。
- 排尿が多い。
- 1回食事をしなかった。
去勢・避妊
当院では、生後6カ月を目途に、去勢・避妊をご案内しています。
去勢・避妊は、その子にとっては一生に一度の手術となります。
全身麻酔で身体にメスを入れるのですから、術前の検査をしっかり受けてもらいます。
レントゲンで心臓と肺に異常がないか、血液検査で栄養状態、肝機能、腎機能、血液凝固に問題はないかなどの検査をし、さらに触診で異常がないことを確認してから手術の予約となります。
ただし、検査の結果大きな病気が見つかり、「去勢・避妊はやらないでおきましょう」ということになる場合があります。
逆に、病気を持っている場合でも、飼い主さんの希望があれば十分な準備をして手術に臨めることもあります。
手術には必ず麻酔のリスクがつきものですから、その点の説明はしっかり行います。
麻酔は導入麻酔から入ってガス麻酔でコントールし、人工呼吸装置を付け、すべてモニタリングしながら進行していきます。
手術は麻酔担当、助手など複数で担当し、万全を期してまいります。
当院では手術の1時間前に痛み止めを注射する、先制鎮痛を導入しています。詳しくはご相談下さい。
ペットの高齢化
年々動物たちの寿命が延びています。
うれしいことではありますが、それに伴い病気の子たちも増えています。
健康であっても、7歳からは食事の指導を行っています (持病があるときは、年齢に関わらず適宜指導をしています) 。
動物は毎日同じものを食べ続けるので、ペットフード選びはとても大切なのです。
高齢の子たちには、特別医療補助食、処方食を食べてもらいます。
病気と食事がピッタリ合うと、本当に長生きできるものです。
味の好き嫌いがあるので最初はちょっと大変ですが、時間をかけて食べられるようになると、健康状態が変わってくるのです。
高齢の動物たちは、人間と同様に関節の問題を抱えることも多くなってきます。お散歩中に元気がなかったり、歩き方がおかしいといったサインを、老化だからといって見逃さないようにしてあげましょう。
診察をした上で、関節のサプリメントや痛み止めなど、適切な処置で症状を軽くしてあげることができます。
歯のトラブルも多いので、歯石が溜まらないよう予防的な歯磨きは大切です。
食べることは生きるために本当に大切なことですから、なるべく歯を大切にして、いつまでもご飯を食べられるようにしてまいります。
ターミナルケアとペットロス
開院以来30年以上となる当院では、長生きをしている子が多くいます。
ネコちゃんで24歳、ワンちゃんで22歳という例もあります。
飼い主さまも、家族として一緒にいる時間をより長くしたいと一生懸命頑張っていらっしゃるので、私たちも何とかそのお手伝いをしたいと考えています。
介護も含めて、家族でできる動物へのケア、自宅で最期が迎えられるような治療など、できる限りのサポートをいたします。
ターミナルケア(終末医療)
ターミナルケア(終末医療)となる動物には、基本的にできるだけ食べられる状態にして家にお返しし、少しでも家族と一緒にいられる時間をつくることを優先します。
治療方法にはいくつかの選択肢があります。
何がご家族とその子にとって一番よい方法なのか、それぞれの治療方法と効果についてご説明し、選んでいただいた手段の中でできるだけのことをやってまいります。
たとえば、腎臓病のための点滴をご自宅でやっていただくようなこともあります。
悲しいけれど、精一杯のケアをしておいてあげれば、亡くなってからも悔しさや後悔はやわらぎます。
患者さまによっていろいろ考え方が違うので、よく話し合って、ご希望に沿えるようにしています。
ペットロス(つらい別れ)
そして、いつか必ずやって来るつらい別れのとき。
飼い主さんの中には、「自分に足りないところがあったのではないか」とご自分を責め、次に人を責め、そのうちに楽しかった思い出が浮かんできて、生活する気力が萎えてしまう方もいらっしゃいます。
3カ月以内にもしもこうした経過をたどったとすれば、それはペットロスにあたります。
人が亡くなったときと同じです。
当院では、お悔やみのお手紙の中に、こうしたペットロスへの対応をご案内しています。
ペットロスにならないように、微力ながらご自分の中で整理をしていくお手伝いもさせていただいております。